
原田博司 情報学研究科教授、加藤数衞 株式会社日立国際電気技術統括、福本昌弘 高知工科大学教授、須崎地区森林組合、高知県商工労働部産業創造課、株式会社STNetらの研究グループは、森林内の樹木や地形などの遮蔽による厳しい見通し外通信環境下における広域系Wi-RANシステム映像伝送試験に成功した。
林業分野において業務の高度化・効率化に大きく寄与
国土面積の約3分の2を森林が占める我が国で、同システムを利用することによって、林業分野において情報通信技術による社会リスクの低減や多様な業務の高度化・効率化に大きく寄与できる可能性を示すもの。
過疎や従事人口の高齢化の社会課題の解決にむけた利用拡大が期待されるという。
山麓において山中の詳細な状況把握が可能に
林業においては、原木伐採作業に必要不可欠な原木所有者確定のための地籍調査を目的として、山中の映像をリアルタイムで山麓まで伝送するニーズがある。
しかし、このような山中には、基本的には携帯電話回線は十分整備されておらず、そのニーズに適合する無線技術はなかった。
広域系Wi-RANは、見通し外映像伝送を実現するシステムとして知られており、これまで広域に存在するセンサー、メーター、モニターからの情報を収集する無線通信システムとして、さまざまな見通し外環境での実フィールド試験を、地域医療への応用を中心に行ってきた。
しかし、生い茂った森林内を想定した厳しい見通し外環境での実証は行われていなかったが、今回、山中の映像を山麓へリアルタイム伝送し、さらに双方向での音声通信を行うことで山麓において山中の詳細な状況把握が可能になることを確認した。
(慶尾六郎)